
ネットから学ぶパートの基本
システムの外部環境の変化と同時に、システムの内部状態すなわち雇用システムの内部を生きる諸個人の考えや行動もまた、大きく変化しつつあると言える。
女性労働のさらなる増大や高学歴化、あるいは高齢化や少子化など、さまざまな要因が既存のシステムの価値前提の変化をもたらすことは間違いない。このようなものとして、雇用の安定よりも転職の自由を追求すべき、特定企業に縛られた「会社人間」としての生き方よりも「自由な職業人」としての生き方を追求すべき、といった議論が飛び交っている。
もしそうだとすると、外部環境への対応だけではなく、人々の行動としてもまた、日本型雇用システムは、定着型から流動型への転換を迫られることになる。いま何を目標とすべきなのか。
もしそうだとしても、そのような議論は重要な事柄をあまりに簡単に見落としているのではないか。雇用の安定であれ、転職の自由であれ、それは二者択一的に扱われるものでしかないのか。
会社人間であれ、自由な職業人であれ、その理解はあまりに皮相、あまりに一面的ではないか。これまでもそうであるように、そして今後も予想されるように、「事実」として転職や雇用の流動化がさらに進行することは間違いない。
しかしここから「市場型」のシステムが自動的に生まれるわけではない。転職を促進するシステム、雇用の流動化を促進するシステム、これが「市場型」の雇用システムであったとしても、問題は、それが具体的にどのような制度を伴って形成されるのかということにある。
「日本型」システムがそうであるように、「システム」は相互に関連しあった諸制度から構成されている。後に詳しく見るように、制度化されない市場も存在する。
いや、それが通常想定される「市場」だといってよい。それは確かに「自由」な市場である。
つまり、転職や移動を促進する要因も制約する要因もない・仕事が見つかる限りに応じて「事実」として転職がなされるということであり、言い換えるなら、「事実」として雇用が成立するということである。確かにこのような「市場」が広範囲に広がっている。
それは日本における市場でもある。この意味で、日本において市場が未成立だというわけでは決してない。
しかし、そのメカニズム自体が制度化された「市場」もまた存在する。このような市場が広範囲に広がることが、労働市場の最大の特徴であるといってよい。
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